三重大学大学院生物資源学研究科附属
紀伊・黒潮生命地域フィールドサイエンスセンター附帯施設演習林
概要
三重大学大学院生物資源学研究科附属紀伊・黒潮生命地域フィールドサイエンスセンター附帯施設演習林(平倉演習林)は本学の前身である三重高等農林学校から引き継がれ,89年の歴史を持っている。それ以前は,藤堂藩の藩有林として厳しく管理され,林齢200年超(1810年植栽)のスギ人工林が現存している。演習林(約460ha)の6割を占める天然生林では紀伊半島北部の代表的自然植生を保持している。三重県中部を貫流して伊勢湾に注ぐ雲出川の最上流水源地帯を構成する森である。三重大学キャンパスからは車で2時間以内で到達できる。
教育
主に森林科学を学ぶ森林講座の学生を対象とした森林資源の育成・利用・保全に関する諸実習・卒業研究、大学院生の特別調査研究を行っている。その他,同学科または全学の学生を対象とした体験演習等も行っている。
研究
紀伊半島における天然植生の動態の解明,人工林の長期的生長解析,森林の多面的機能と流域環境評価,土砂災害発生要因の解明と森林管理などに関する研究フィールドとして,また,天然の木質資源であるリグニンの諸性質に関する研究のための材料提供などで,学生,教員の研究に広く利用されている。
社会貢献
地域の小学生や中学生を対象とした「フィールドサイエンスセンター公開講座(FSC公開講座)」を開催し,子供たちが自然について学ぶ場を提供している。
フィールドの位置
フィールド紹介
平倉演習林
平倉演習林の気象と地形地質
年平均気温12.4℃ (標高500m) ,年降水量約2,500mm。流域は標高1,000m内外の峰と急峻な斜面で囲まれ,林内の標高差が約800mあり,冬季に霧氷がみられる。流域は,東俣谷・西俣谷の2つの渓谷で構成され,僅かに河岸段丘,扇状地がみられる。地質は,西南日本の中央構造線のすぐ北側に位置し(内帯),花崗閃緑岩類が大部分を占めている。 2011年台風12号による豪雨で林内に大規模な斜面崩壊が発生した。
平倉演習林の植生と動物
天然生林:標高600m以下でヤブツバキ,アカガシ,ウラジロガシなどの常緑広葉樹林がみられ,大部分はモミ,ツガなどの針葉樹林とケヤキ,トチノキ,ミズナラ,ヒメシャラ,ミズメ,ブナ,カエデなどの落葉広葉樹林が混交し,紀伊半島北部の代表的な森林植生となっている。特に,太平洋型のブナ林とモミ・ツガの天然生林は学術的に重要な保護対象林分である。
人工林:大部分がスギ,ヒノキ一斉林。一部アカマツ,カラマツ,クヌギ植栽区がある。このような環境で,クマタカ,コノハズク,ヤマネ,ニホンカモシカなど分布上注目される野生動物が確認されており,ニホンジカの生息密度が三重県内でも極めて高い地域である。
515-3532 三重県津市美杉町川上2735
電話番号 059-274-0135 FAX番号 059-274-1171
トピック
津市美杉町を舞台とした林業青春映画ウッジョブ!(5.10公開)で林業研修シーンの撮影が行われた。
詳細情報
ウェブサイト
三重大学大学院生物資源学研究科附属紀伊・黒潮生命地域フィールドサイエンスセンター附帯施設演習林
http://hirakura.bio.mie-u.ac.jp/