森林管理技術賞
第4回(2002年)
第4回森林管理技術賞 受賞者(6人)
荒木田 善隆(アラキダ ヨシタカ)氏 (東京大学)
[受賞理由]都市近郊二次林における鳥類の生態、とくにヤマガラの繁殖生態に関して研究を重ね、日本鳥類学会から奨学賞を授与された。その研究を基礎に、 各種の技術職員研修会で講師を務め、また地元小学校の野鳥観察会、地域住民を対象にした公開講座などでも多年にわたり指導を行っている。こう した業績に対して地元の市長、小学校長から表彰を受け、演習林と地域社会との関係構築に大きく寄与している。
植木 宗司(ウエキ ソウジ)氏 (宇都宮大学)
[受賞理由]数多くの免許・資格の保持と旺盛な研究心を基礎に、林道の新設と維持、のり面工法、収穫作業、固定試験地の維持管理等に多彩な技術を発揮して きた。とくに蛇篭工法、簡易舗装、のり面緑化、間伐材による保護工などの技術開発は出色で、余人をもって代えがたい。これらの技術に基づいて 学生実習、公開講座、小中学校総合学習でもその指導力を遺憾なく発揮し、技術移転の確実さは大学内外から高い評価を受けている。
佐藤 八重治(サトウ ヤエジ)氏 (山形大学)
[受賞理由]豪雪地の森林保育、森林気象害の回避・軽減、酸性雨モニタリングなどに関する研究支援に従事しながら、自らも研究発表を行ってきた。長期的な 積雪データの収集に関しては、1992年に共同研究者とともに東北雪氷賞学術奨励賞を受賞している。また野生鳥獣の保護、育成に関しては自らの実践と詳細な観察に基づいて学生教育、市民教育などの啓蒙普及活動を積極的に行い、2000年には全国視聴覚教育連盟から表彰を受けている。
椎葉 康喜(シイバ ヤスキ)氏 (九州大学)
[受賞理由]森林・林業に関する資料収集業務を中心に、演習林における教育・研究基盤の整備に努めてきた。とくに植物の同定では他人の追随を許さない豊富 な知識を持ち、さく葉標本・材鑑標本の作成など、樹木に関する資料の収集・管理に傑出した技術を発揮している。また立木調査の実践的業務にも 精通し、教育・研究基盤の整備全般に顕著な実績を残してきた。九州大学演習林の中核的技術者、宮崎演習林の技術的総括者であり、余人をもって代えがたい存在である。
高見澤 澄(タカミサワ キヨシ)氏 (筑波大学)
[受賞理由]経営計画作成、林業機械操作の資格を生かした森林の育成管理など演習林運営全般に高い技術を発揮してきた。とくに高寒冷地森林におけるカラマツ 、ミズナラの育成技術開発と高品位材の生産については中心的役割を担い、多くの研究成果を発表している。また研究支援、学生実習、公開講座、技術職員研修などでは高い技術と豊富な植物知識に基づいて、その優れた技術、知識を多くの人たちに還元する指導的役割を果たしている。
外崎 勝美(トノサキ カツミ)氏 (北海道大学)
[受賞理由]北方森林における育成天然林施業の技術的基礎を構築して、森林の持つ多様な機能の解明を目的とする森林科学の発展を技術的に支えるとともに、 近年は北大研究林(演習林)における国際共同研究の発展に向けて技術者集団を指導、統括してきた。また大学の組織編成に伴い、森林技術・農業 技術・水産関係技術が合体して発足したフィールド科学の支援組織においても、同じく技術者集団の責任者として高い信頼を得ている。